そんな彼は、自説が正しいかどうかを確かめるために多くの実験を行いました。そのひとつとして、彼は、このコラムの一番初めの文章で取り上げた「クロスワードパズルの正解率」に関する実験を行いました。
実験はロンドンの新聞社の協力を得て行われました。新聞に出る前にクロスワードパズルを解くときと、新聞に出たあと解くときで、正解率を比較したのです。すると、新聞に出たあとの方がずっと正解率が高くなったのです。いままでの科学では、こんなことはどうしても説明ができません。しかしこの現象をシェルドレイクの説で考えると、うまく説明ができます。つまり、新聞に出たことによってそのクロスワードパズルを多くの人が解いて正解を出すので、その形の場ができる。あとから解く人はその形の場に共鳴しやすいので、正解を出しやすい、と説明できるわけです。
他にも、テレビで公開実験もおこなっています。数10年前にイギリスのテレビ放送で行われた一枚の隠し絵に絡む実験ですが、テレビ放送の前と後では、明らかにテレビ放送後のほうが、より多くの被験者に隠し絵を認識されたのでした。
シェルドレイクは「超常現象のほとんどは、非科学的なのではなく、科学で扱われないべきタブーとされてきたので、科学的に検証されたことがないだけだ」といいます。非常に鋭い視点だと思います。超常現象のような不可思議な現象だけではなく、たとえば日常ありふれたこと「伝書鳩が正確に帰巣するのはなぜか?」という疑問でさえ、実はいまだに解明されていません。星座を見るとか、脳内に磁石があるとか、いろいろな仮説があっても、どれも結構簡単に覆されてしまうものばかりで、しまいには「遺伝子内に地図がある」という説明で終えてしまう説もあるほどだそうです。要するに説明になっていないのです。これをシェルドレイクの先ほどの理論を使って考えれば、関係の深いもの同士が共有し、離れていても作用しあう、目に見えないつながりがあり、伝書鳩はその力によって帰ってくることができるのだ、と説明が簡単にできます。
まったく関係がないはずの友達から、同じ日に電話がきたりする、運が悪いときが続くこと、運がよいときが続くこと、このような例をあげればきりがありませんが、もし、いつの日か、シェルドレイクのこの理論が正しいと証明されたならば、これらのことにも説明がつきそうです。ひょっとすると、将来運が悪いときが続かないようにするための方法など、困った偶然を断ち切るための方法が科学的に確立されるかもしれませんね。
Henry 12 Jan 2006
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